読トリン活動日誌

京大読トリンの例会活動内容を記録します。

1/5 例会

今年初めての例会です 今年はその日のうちに更新することを目標にします

シェイクスピアの中で最も残酷な悲劇と言われる作品。三部構成から成っており、一部ではゴートの民族を倒した宴会のようすが描かれているが、ここから始まる復讐劇の連続の一つ一つが残酷であり、悲しくもある。
その一つ一つが印象に残るのも確かであり、傑作である。(しのぶ)
鏡子の家 (新潮文庫)

鏡子の家 (新潮文庫)

三島由紀夫中期の作品。鏡子と、鏡子の家にやってくる四人の男を描いた話。解説に書いてあるが、これだけ多くの人物を動かしておいてそのどの人物も印象が薄くなることなく描くのは至難の業である。普通は登場人物ごとに印象の濃い人物、印象の薄い人物が出るものだがこの作品にはそれがない。その点で優れているといえる。さらに三島由紀夫特有の緻密な情景描写、心理描写もあり読み応えのある作品だった。(ぐうすか)

次の例会は月曜日が祝日のため、1/19です。

12/1 12/8 例会

更新が遅くなって申し訳ありませんでした
今年の例会もわずかとなりました。
12/1分

作者買いした。後書きにも書いてあることだが、「人生にはたくさんの落とし穴があり、その落とし穴にはまると上ってくるのにとても苦労する。人生はとてもつらいものだが、そのような苦しみばかりではないという世界を描きたい」との言葉が示す通りの世界観が素晴らしかった。(アロゲ)

週刊 太平洋戦争の記憶 2014年 9/3号 [分冊百科]

週刊 太平洋戦争の記憶 2014年 9/3号 [分冊百科]

最近「艦これ」など太平洋戦争の話題を聞くので購読。付録についてきた戦争当時の新聞が面白く、反日と騒がれている朝日新聞が戦時中はむしろ戦争扇動を大きく推奨していたのは面白かった。(しのぶ)

極黒のブリュンヒルデ 1 (ヤングジャンプコミックス)

極黒のブリュンヒルデ 1 (ヤングジャンプコミックス)

演出がとてもうまい。ページをめくらせようとさせる才能は前作「ノノノノ」や「エルフェンリート」のころから秀でている。初期に明示されたピースが後半になるにつれて出てくるのは痛快である。(ぐうすか)

12/8分

キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)

キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)

名著と名高いので読んでみた。朝鮮戦争時代を描いた本である。主人公がなかなか反社会的で面白い。学校には行かない、ガールフレンドとひたすら遊ぶetc… 
しかし何度も読み返させる魅力がある。様々な訳者のものがあるが、私はこの版が一番好きである。(しのぶ)


次回会合は12/15です。

11/10 例会

今日はたまたま来ていた友人(非会員だが本を持っていたので紹介してもらった)を含めた四人による紹介となった。

考えるヒント (文春文庫)

考えるヒント (文春文庫)

かなり難しい作品で紹介時には未読であった。最初の導入は作者の体験などをもとにしていていけるのだが、後半の作者の主張部分になるととても難しい。ただ、そこから小林秀雄という人間の知性を感じるのも確かであり、読み応えのある本だと思った。(ぐうすか)

女子かう生(1) (アクションコミックス)

女子かう生(1) (アクションコミックス)

漫画にしては珍しくセリフがない。キャラの絵だけでストーリーを伝える意欲作。作者が画力に自信を持っていないとできない作品である。そしてその試みには成功しており、変に文字を多く使うよりもたくさんの、生きたキャラ同士の掛け合いが伝わってくる本であった。(リッカ)

破船 (新潮文庫)

破船 (新潮文庫)

船から漂流した話。他サークルでの発表の参考資料として読んだのがきっかけ。漂流した後の主人公の生活はとてもリアルで面白い。短時間でサクッと読み終えることができる軽さもまたよい。(深夜急行)

グロテスク〈上〉 (文春文庫)

グロテスク〈上〉 (文春文庫)

女子高校生、いわゆるJKの裏の話。お嬢様高校に通ういわゆる「エリートお嬢様」特有のいじめ、嫌がらせなど陰の部分を描いている。えげつない話ではあるが、不思議と読ませる魅力がある。本をめくるページが止まらなくなる本であり、ぜひとも下巻も読みたくさせる本であった。(しのぶ)

10/27 例会

東京喰種 1―トーキョーグール (ヤングジャンプコミックス)

東京喰種 1―トーキョーグール (ヤングジャンプコミックス)

久しぶりに漫画。表紙からわかるように表現などオシャレで画力のとても高い漫画だが、肝心のストーリーもよく練られている。どのように展開するかわからないワクワク感と少年漫画らしいカッコよさを兼ね備えておりとても面白い。ただ暗い画風は読む人を少し選ぶかもしれない。(ぐうすか)

10/20 例会

本当にこの人の書く作品は面白いし、いい意味で意外性がある。文壇の裏を描いた作品で、次から次へと妙にリアルで人間臭いキャラクターが出てきてそれだけで面白い。
万人におすすめできる(?)一冊だと思う。(ぐうすか)
山の音 (新潮文庫)

山の音 (新潮文庫)

最近ノーベル文学賞が話題になったので、日本人の受賞者である川端康成の本を読もうと思い選んだ。
古典文学を現代の価値観によって支配しようと試みる人間にはこの本はおすすめできない。この小説の一つのテーマは今から半世紀以上も前の「家」であり、近年の、特に女性には男女差別としてとらえられかねない表現があるからである。(しのぶ)

例会 10/6

豊かさとは何か (岩波新書)

豊かさとは何か (岩波新書)

1980年代の、高度経済成長を抜けた日本について言及した本。
目まぐるしい経済発展の一方で日本が忘れていた個人の幸福について書いてあるが、これが現在日本にもつながるものが多く、今から20年以上前に書かれた本なのかと驚かされる。
ただし、作者の思想なのであろうが、ところどころ傾いた思想も見られるので、そのような思想批判が苦手な人にはお勧めはできない。福祉などについて考える上では様々な資料も提示してあり良書なのだが…(ぐうすか)

例会 8/26

SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

タイトルにSFという単語が入っているけれど、ガチSFというよりはタイムマシンというガジェットを使って書かれた家族小説。出てくるタイムマシン自体も一般的に想像されるような「自由に時間を行き来できるマシン」ではなくて、過去を自由に回想できるみたいな装置で、過去自体は結局変えられないという代物。タイムパラドックスのループから抜け出すために自分の過去をひたすら回想する、という流れから家族関係の話に繋がるのは上手かった。円城塔訳ということで、ところどころ円城塔ナイズされたような文章が出てくるけれど、逐語訳だということなので元々が似た雰囲気で書かれているんだろうなと思う。(ほしみ)

最初のガンマンの話とか、やりたい放題やった感じ。こういうのできるってすごいよなあと思う。(りっか)

今年見た中で一番良かった映画。もちぞうが告白して、それにたまこが返事をするまでの話なんだけど、映画中の表情とか仕草での心情の描き方が非常に良かった。それに対してノベライズ版は、一人称かつ文章なので内面まで全部書かれてしまっていて、小説なので仕方がないんだけれどちょっと描写しすぎかなあと感じた。(リチャード)

果てしなき渇き (宝島社文庫)

果てしなき渇き (宝島社文庫)

この前公開された「渇き」の原作。すごくポップかつ情報量ぶっこんでハイテンションで描きまくるみたいなノリ。すごく文章力があって、暴力の描写などが非常に生々しい。読む人を選ぶと思うがとてもおもしろかった。(リチャード)

病弱であるがゆえに?好奇心旺盛なヒロインに、幼なじみの主人公が振り回されるという話。特に天文関係の話をヒロインが好きという設定で、天文絡みの話が多い。言い回しとか表現の仕方が上手くてよかった。ただ、舞台が架空の北海道で、北海道の半分に壁が立てられてて向こう側がロシアに占領されてる、という設定なんだけど、この設定いらなくね?感が強い。(アロゲ)