読トリン活動日誌

京大読トリンの例会活動内容を記録します。

【感想文】町田康『どつぼ超然』

最近町田康はたくさん本を出していますね。餓鬼道巡行、バイ貝、この世のメドレー...
以下本文です。ネタバレ有。

本書はエッセイ、ひとり語り風の創作小説という町田康の典型的なスタイルで書かれている。
実はこの本は『東京飄然』という前巻があって、『どつぼ超然』に続いているらしい。私は前書は読んでいない。

話は4つにわかれている。
『発端』『渡海』『触れ合い』『ただ一切が過ぎていく』
どれも超然たる自分(余)が超然たるふるまいをしつつ超然らしくぷらぷらする、といった内容である。ただやっぱり超然とするのは難しいし小さな事に苛々してしまったり、そういうところが人間だしそういうところがメインだね。
超然的になることは難しいし混沌とした世の中で超然としているかどうかっていうことはわかりにくいが、少なくとも自分は自分で自我があるからそもそも超然的だったりするのだろうか?思考、肉体が世間一般とは超然的なところにあるが言動、行動をしても影響を他者に与えたとして、それは余が超然であることに変わりはなく、爆発している余に対してそのものたちはそのまま一切として過ぎていくのだろう。
読めば読むほど余はこじんまりとしてきて全然超然でなくなっていくのだが...

(石田)